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9 23, 2007

「ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡」レポート

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森美術館で行われた「ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡」に行ってきたので、軽くレポートしておきます。

生誕120年ということで、今年はさまざまなコルビュジエに関する展示や放映がされていましたが、本展覧会はまさにそのメインとなるもの。
初期から晩年にいたるまで、作品を追って紹介していました。

絵画を描いていたというのは知っていましたが、どんな作風なのかと思いきや、ものすごくいろんな画法にチャレンジしていました。
印象派あり、キュビズムあり、シュルレアリスムあり。
当時のトレンドを即座に取り入れ、実験的であったわけです。

特に、白い立方体が遠近感を喪失しながら水平線を分かつ何かの上で佇む静物画(風景画?)は、後の建築作品に通じるものを感じることができました。

会場には、コルビュジエのアトリエの実物大が再現されており、採光を調節したやわらかい光のなかで、毎日、午前中に絵画や彫刻制作にいそしむ姿をイメージさせてくれました。ここで、彼のインスピレーションは生まれ、サヴォア邸に見られる、近代建築の5原則、「ピロティ」「屋上庭園」「自由な平面」「水平に連続する窓」「自由な 正面(ファサード)」という、コルビュジエ建築の礎を作っていったのです。

この展覧会の最大の目玉は、集合住宅の《マルセイユのユニテ・ダビタシオン》のメゾネットタイプ(2階建てアパートの内部)と、晩年に暮らした《カップ・マルタンの休暇小屋》を再現した実物大模型です。《マルセイユのユニテ・ダビタシオン》は、NHK BSで安藤忠男氏が訪れるドキュメンタリーをやっていたのを観て、いたく感心しました。

《マルセイユのユニテ・ダビタシオン》は、構造的に対になるユニットを「」のように入れ子にすることで、狭小地でもある程度の広さを確保した住まいの提案をしています。
デザインもすぐれいて、2階分もある大きな窓や、ユニットキッチンなど、住む人の視線に立った、優れた居住性がありました。
屋上には水辺がある共用の遊び場や、今でいうコンビニなども用意されていて、当時としては画期的な、逆に言うと今ではあたりまえの機能をそなえた建物です。
今でも、高値で売買されてるそうです。

とはいっても、ちょっと狭くて圧迫感があったかな。
これは、ル・コルビュジエの考えたモデュロールという尺度を適用したから。(昔、キリンのポスト・ウォーターに似たようなグラフィックが描かれて問題になったなぁ)彼は人間の身体寸法を基準として、いわば寸法における黄金比を考え出し、このユニテに適用したのです。

《カップ・マルタンの小屋》は、もうミニマルの極地。
これでもかっていうくらい、なんにもないし、狭い。
実際に中にはいるのも、4人がやっと。3.66メートル四方の小さな物(およそ8畳間)だそうです。
コルビュジエが最後にたどりついたとは思えない、いや、しかし、これこそが本当の必要な最低限かつ最大の空間なのか、といったいろいろな思いを抱かせてくれました。

そのほかに、インドのチャンディガール都市計画や、没後に建築が再開され、2006年にやっと完成した、《サン・ピエール教会》(フィルミニ)なども紹介していて、コルビュジエの作品を俯瞰的に追うことができました。
LC2などの家具や、自動車なども展示されていて、生活までもデザインしていた姿がうかがえたし。


関連リンク
森美術館 ル・コルビュジエ展

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