「ハウルの動く城」と歩く建築
メガヒットを記録中の「ハウルの動く城」。タイトルにもあるこの“動く城”、廃物と大砲と工業機械が融合し、全体が顔になっている異様な容貌の巨大構造物体です。昆虫のような足で屹立し、大地を闊歩する様は圧巻でした。で、この歩く建築物について考えていたところ、アーキグラムの「Walking City」との類似性に気づきました。
アーキグラムとはイギリスの前衛建築家集団のユニット名兼雑誌名。ピーター・クック、ウォーレン・チョーク、デニス・クロンプトン、デビット・グリーン、ロン・ヘロン、マイケル・ウェブの6人が、既存の建築に対するアンチテーゼとまったく新しい思想からさまざまな空想建築物を誌上で発表しました。ポップでサイケなポスターやコラージュによるその発表形態は当時としてはかなり刺激的なパフォーマンスだったようです。
特に有名なのが、「Walking City」という自律歩行型建築物。SFも真っ青なこのユートピアは、都市という固定化したエリアを再定義し、あらゆる場所でインスタントに都市機能を再現できるという思想を具現化したものです。


脚部が愛らしいですね。“動く城”とイメージがダブります。
ただし、“動く城”は居住空間でありつつ、大砲を備えた兵器としての側面もあり、また城のメタファーは、王(ハウル)が支配する王国でもあるので、「Walking City」の平均化された都市コミュニティ思想とは相反する部分だと思います。それと超近代と廃墟、のような対比も面白いです。


なんと、この歩く建築にそっくりなフォルムを持つ現実の建築物があります。
ロベルト・メイヤーとユルン・ファン・スフォーテンによる若手建築家ユニットのメイヤー・エン・ファン・スフォーテン・アーキテクテン(Meyer en Van Schooten Architecten)設計によるINGグループ本社ビル(2002年竣工)です。


INGグループは、オランダ・アムステルダムに本社を構える銀行および保険業務を行う企業。この建築物は、経営理念を象徴し、透明、確信、エコがコンセプトだそうです。ニョキニョキと生えた足はまるでムカデのよう。これで歩いたら完璧! 構造設計の進歩により建築の世界がダイナミックに、どんどん未来に突き進んでいることを実感できます。
なお、“動く城”と「Walking City」の類似性について調べたところ、同じような指摘をされている方が何人かいました。ただ、オフィシャルな発表にはないようです。
映画自体は賛否両論ありますが、個人的にはカタルシスがないような、予定調和な印象を受けました。しかしながら、宮崎駿が敢えてそういう表現をしていることに理由があるのだと思います。もうちょっと咀嚼してみないと。
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アーキグラム アーキグラム 浜田 邦裕 ![]() Amazonで詳しく見る |
It's a Building: Ing Group Headquarters, Amsterdam : Meyer En Van Schooten Architecten Hans Ibelings Georges Fessy ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
確かに類似する点があるかもしれませんね。
私もアーキグラムは前々から好きでした。
私が生まれるよりずっと以前から、あのような都市像を考えていた人がいたなんて驚きです!
RIBAのゴールドメダルをゲットしたときには、もう感無量でした!
何十年も前にはただのユートピア論に終わってしまっていたかもしれませんが、現在、またはこれから先の技術次第では建築可能になってくるかもしれませんね。(実際に建ったものもありますし。)
もう現役で頑張っているメンバーも少なくなってしまったようなので、意志を継ぐ人の登場に期待してます。
ちなみにハウルは最高でした。
予定調和な感を否めないのは、おそらくマルチジェネレーションを意識したのかもしれません。
もはやジブリは子供のための映画から、子供からお年寄りまで楽しめる映画を目指しています。(目指さるざるを得なかったのかもしれない。)
さらに言うと、世界中の人が楽しめる映画。
その中でできる最高の映画だったと思います。
褒めすぎかなぁ。。汗
ついつい長くなって申し訳ありませんでした。。
Posted by: nakada at December 26, 2004 8:15 PMnakadaさん
コメントありがとうございます。
アーキグラムは水戸芸で展覧会するようですね。
http://www.soum.co.jp/mito/archigram/archij.html
ハウルですが、原作はもう少し設定が詳しく書かれているようです。
なにより、ハウルの行動規範がよくわからなかったのがひっかかったところでした。
これが意図的な描写であると思うので、そのあたりを考えてみたいと思っています。
非常に興味深く読ませていただきました。
「歩く建築物」。
どうしたら建築は歩くのでしょう。
わたしもまじめに考えています。
歩くというよりは上昇する・・かもしれません。
またこちらに遊びに来ます。
kasugaさん
コメントありがとうございます。
“建築が歩く”のは、移動と自律歩行の二つの概念があると思いますが、自律歩行は空想の世界の話として、移動に関しては車輪をつけたり、水上住宅のようなものである意味実現していますね。
ただ、やはり重要なのは脚を持つということでしょう。ロボット工学の発展に期待したいところです。
「上昇する」という思考は空中都市思想などとも通じて面白いですね。
ぜひまたいらしてください。



